蕎麦用語の一口解説


〔あ〕
● 相乗り
 一つの器に2種類以上の異なる蕎麦を盛り合わせること。
蕎麦とうどんを半々に盛り分けることもいう。
● 秋そば
蕎麦の種類は収穫時期によって「夏そば」と「秋そば」に大別されている。「秋そば」の種まきは7月上旬(北海道)から9月上旬(九州)。収穫時期は9月中旬から11月中旬。
秋そばは夏そばに比べ風味がよい。
● 熱盛(あつもり)
一度水洗いしたそばをもう一度熱い湯に通して温めたもので「湯通し」ともいう。蓋付きの蒸し籠に盛って熱々を出すのが常法。

● 甘皮
そばの殻(果皮)を取り除いた種子の表面の皮のこと。
新そばのときは緑色をしている。
● 一鉢二延し三包丁
手打ちそばの作業の要諦を語呂よく表したことば。
木鉢、延し、切りの順で作業の重要性のランクを表している。
● 一番だし
最初にとっただしのこと。
一般に鰹だし、また昆布と鰹節を合わせて引いただしについていう。
● 饂飩一尺蕎麦八寸
一番食べやすいとされている饂飩と蕎麦の長さを表した言葉。
● 饂飩三本蕎麦八本
饂飩は太いから一度に三本くらいづつ、蕎麦は細いから8本くらいづつ口に運ぶのが丁度いい。ということを表した言葉。
● おくり包丁
麺生地に当てた包丁を先の方(前方)に押し出すようにして切る切り方。
すり包丁ともいう。
● 落とし包丁
麺生地に当てた包丁を真っ直ぐ下に落とす切り方。
   


〔か〕
● 風邪をひく
 そば粉は風に弱い。麺生地にしてから長く空気に触れると乾燥して表面がひび割れしたり、香りがとんでしまう。そのため延しの作業は手早く行う必要がある。冬場は乾燥しているので特に注意が必要。
● 釜前
そば屋の職制のひとつ。
茹で釜の前にいてそばを茹でたり、そばを盛り付ける作業を担当する。
江戸時代からそば職人の中で最上位とそれた。
● 加薬
香味としての薬味のこと。
主として関西では麺類や飯に加え混ぜるもろもろの具材のこともいう。
● 辛味
薬味のことで、唐辛子、山葵、芥子、大根おろしなどをいう。
● 辛味大根
辛味の強い大根の種類の総称。
● 菊もみ(菊練り)
木鉢の作業で練りの仕上げの作業。「くくり」ともいう。生地を内側に練り込んで、団子状にまとめる作業のことで玉の中心に菊花のようなシワができるこみとから、この名がついた。
● 木鉢下
本来は木鉢を据える台になった丸桶のこと。そば店ではそば粉の保存状態をよくするためにこの桶ら中にそば粉と小麦粉とを一定の割合で混合した粉を入れておいたので、この混合粉のことを指すようになった。
● 木鉢麺棒三さわし
木鉢での粉のこね方、麺棒を使っての延し方、そばの洗い方とそば打ちのポイントを表したことば。
「さわし」とはそばを水に浸けてよく洗うこと。
● 極め水
木鉢の水回しの工程で最後に入れる調整のための加水のこと。
● 切らず玉
そば打ちの作業で加水が多すぎて、生地が柔らかくなり過ぎた時にそば粉を足して修正することがあるが、こうしてできたそばは食味的には落ちる。また切れて短くなってしまいやすいので、切らずに捨ててしまったほうがよいという戒めのことば。
● 切りべら
延した生地の厚みの幅より薄く包丁で切ること。薄く延すより薄く切るほうが楽なため、そば職人の逃げの手法とも言える。
● 切りべら23本
江戸時代から御定法とされていた並みそばの太さで延した麺生地の一寸(3.03cm)幅を23本に切ること。
そば1本の切り幅は約1.3mmで、延しの厚みはこれより少し厚く、切り口はやや長方形になる。
● 口開け
麺線がくっつかないように、包丁で切ったそばの切り口を開けること。
● グルテン
小麦粉に水を加えて練った生地を水の中で練り、デンプンを洗い流した後に残る粘着性のガム状の物質。
そばのつなぎに小麦粉を用いるのは、このたんぱく質のグルテンの働きを利用している。
● 化粧水
茹で上げたそばを手早く水洗いした後で、最後の仕上げにかけるきれいで冷たい水のこと。
● 御膳粉
さらしな粉の別称。



〔さ〕
● さし水
 そばを茹でる過程で湯が沸騰して吹き零れそうになったときに入れる水。
びっくり水ともいう。
● すり包丁
蕎麦を切るときに包丁を前方へ押し出すようにして切る。とくに生地の柔らかい時に適したきり方。
● ずる玉
蕎麦を木鉢で練るとき通常より加水の量を少し多めにして柔らかくくくられた蕎麦玉のこと。
仕事をズルけるところからきた言葉。
● 全粒粉
挽きぐるみともいう。玄そばの抜き実をほぼ100%近く石臼で引いたそば粉。さらしな粉や一番粉、二番粉というように採り分けせずにすべてを引き込んだ粉のこと。
● 外二
そば粉10に対して小麦粉が2の混合比率のこと。
● そばづくし
そば料理だけでコースの献立に仕立てたもの。
● そば作りに飢饉なし
蕎麦は俗に75日というように短期間で収穫できるため、凶作のときでもすぐに蕎麦を蒔けばよいという諺。
● 蕎麦にスイカ
食合わせの例。江戸時代の「本草綱目」や「和漢三才図会」などの文献に愛称が悪いとあるが実際はほとんど問題がない。
● 蕎麦にハエが三匹止まったら刈れ
蕎麦の白い花の中にハエが止まったかのように、いく粒かの実が黒く色づく。それが刈り取りの適期だという言い伝え。
● 蕎麦の一吹き
蕎麦は強風に弱い。特に開花期から成熟期にかけて強風が一吹きすると倒伏して大被害を受けるので台風に用心すべきことを戒めた諺。
● 蕎麦のひとむずり
蕎麦を食べて体をひとひねりすると、すぐ腹がすくこと。
蕎麦はすぐに腹のすくものの例え。
● 蕎麦の三(み)返り
蕎麦は煮上がるのが早い。湯で釜の中で蕎麦が3回返った時に煮上がるのが丁度よい火加減の意味。
薪を使っていた当時の口伝え。
● 蕎麦は75日
蕎麦は種まきしてからほぼ75日という短期間で収穫できるという意味。
● 蕎麦屋の酒
昔から老舗の蕎麦屋では吟味した上酒を置いており、その伝統は継承されている。蕎麦振る舞いの時に最初に出す酒をそば前ともいう。
● 蕎麦湯
蕎麦を茹でたあとの湯のこと。
● 空煮え
茹でるときの火加減が強すぎて、蕎麦の表面は茹で上がっているが芯が残っていること。


〔た〕
● 駄蕎麦
 粗雑に作られた蕎麦のこと。
● 種物
かけ蕎麦の上にいろいろな具を載せたものの総称。広くは蕎麦に具をあしらったもの。
● 溜め笊(ざる)
水洗いをした蕎麦を水切りのためにためておくためのザル。
● 昼夜蕎麦
二種類の色の異なった蕎麦生地を重ね合わせて打った蕎麦。
「合わせ蕎麦」ともいう。
● 朔日(ついたち)蕎麦
元旦に食べる蕎麦のこと。
「元日蕎麦」ともいう。新年の行事が大晦日の夜から始まる風習と考えあわせると年越し蕎麦は朔日蕎麦でもある。
● つなぎ
蕎麦打ちのときに蕎麦が切れないようにする目的で混ぜるもの。
● 面水(つらみず)
茹で上がった蕎麦を揚げざるですくい揚げた直後にかける水のこと。
蕎麦全体に水がかかるようにし、粗熱をとる。
● とうじ籠
一人前ほどの蕎麦を入れて、鍋の中の汁に浸けて温めるための籠。
投汁籠とも書く。
● 同割
蕎麦粉と小麦粉を同じ量ずつで混合すること。
● 友粉
蕎麦を打つときに打ち粉が蕎麦粉と同じ粉の場合をいう。
つなぎに同じ蕎麦粉(湯を加えて糊状にする)を使うことを友つなぎという。



〔な〕
● 夏新
夏に収穫された新蕎麦のこと。
● 生返し
返しの種類の一つ。砂糖に水を加えて煮溶かしたものを醤油に加え、ねかせてつくること。
醤油自体を加熱しないのが特徴。

● 延しべら
「切りべら」の反対で、薄く延した厚さよりも包丁で切った幅の方が広いことをいう。
● 暖簾会
同じ暖簾(屋号)のもとに相互扶助と反映を期するための蕎麦店の組織。
通常は全店が同一の屋号を用い、盟主の店は宗本店とか総本家などと名乗ることが多い。


〔は〕
● 細打ち
蕎麦を打つ場合太さを細目に切る打ち方。普通の太さに切ることは「中打ち」という。
● 本かえし
かえしの種類の一つ。
 醤油を加熱し砂糖を入れて煮溶かし、ねかせてつくる。



〔ま〕
● 麺前
麺類を食べる前の酒のこと。
● 揉み方三年、切り方三月
蕎麦打ちの技術を習得するには、木鉢でもむ基本的な仕事が一番難しく3年もかかるが、反対に包丁の方は
わずか3ヶ月もあれば上手に切れるようになるとの諺

● 暖簾会
同じ暖簾(屋号)のもとに相互扶助と反映を期するための蕎麦店の組織。
通常は全店が同一の屋号を用い、盟主の店は宗本店とか総本家などと名乗ることが多い。



〔や、わ〕
● 四立て
美味しい蕎麦の条件。挽きたて、打ちたて、茹でたてを「三立て」というが、これに獲れたてを加えたもの。
● 割り粉
蕎麦を打つときにつなぎとして蕎麦粉に混入する小麦粉のこと。
● 割り粉も蕎麦のうち
つなぎの小麦粉についてもその品質や取り扱いに気を配る必要のあることをいったもの。


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